訪問看護(訪問看護ステーション)
訪問看護及び介護予防訪問看護は、訪問看護ステーションや病院・診療所の看護師等が、利用者の自宅を訪問して、療養上の世話や必要な診療の補助を行うサービスです。
対象者は、病状が安定期にあり、訪問看護等が必要であると主治医が認めた要介護者や要支援者となります。
つまり、訪問看護の利用対象者は、その主治医が訪問看護の必要性を認めたものに限られるため、訪問看護事業所は利用者の主治医の指示を受けて訪問看護を提供することとなります。
サービスは主治医との密接な連携により、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が行うことができます。
要介護者、要支援者に対する訪問看護は介護保険から給付されますが、急性増悪期等、末期の悪性腫瘍その他厚生労働大臣が定める疾病等の患者に対する訪問看護は医療保険から給付されます。
介護保険の事業者としてサービスを提供するためには、都道府県知事から事業者指定を受けることが必要です。
ただし、病院、診療所は、介護保険法第71条第1項により、保険医療機関である場合は、介護保険の指定事業所としてみなされます(みなし規定)。
訪問看護(訪問看護ステーション)の開設要件
訪問看護ステーションを開設する場合には管轄官庁の介護保険法上の事業者指定を受けなければなりません(介護保険法第70条、第115条の2)。
「訪問看護ステーション」の許可を受けるための要件は下記に記載の要件となります。
要件① 申請者が法人格を有すること
個人事業では訪問看護事業所の指定を受けることができません。
株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人等の「法人」が申請者であることが指定を受けるための大前提となります。
また、すでに会社組織である場合は、『定款の事業目的』と『登記簿謄本に記載されている事業目的』を確認して下さい。
定款や登記簿謄本に記載する事業内容が、介護事業の場合あらかじめ決まっています。
訪問介護事業を行う場合は、現在経営している法人の定款に、
「介護保険法に基づく訪問看護事業」
というように、「介護保険」を利用した「訪問看護事業」ということを事業内容として追加しなければなりません。
このように記載されてない場合は、定款・登記簿謄本の事業目的の変更手続を行う必要があります。
要件② 人員基準の確保
必要な人員については、介護サービスの種類ごとに異なりますので、ここでは、訪問看護事業で必要な人員について解説します。
管理者
専従で常勤の方であって、次のいずれも満たす方が1名必要です。
〔管理者の資格要件〕
① 保健師または看護師の資格を有していること
② 医療機関における看護、訪問看護または老人保健法第19条の訪問指導に従事した経験があること
③ 保健師助産師看護師法第14条第1項および第2項の規程により業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当していない方
また、管理者は訪問看護員との兼務が可能です。
常勤換算で2.5人以上の訪問看護員を配置すること
訪問看護事業所ごとに、常勤換算で2.5人以上の訪問看護員を配置することが必要です。例えば、週40時間常勤で勤務する者が2人いれば、3人目の看護員は週20時間の勤務が必要となります。
なお、訪問看護員は保健師、看護師、准看護師の方がなることができます。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を配置すること
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を実情に応じて相当数配置することが必要となります。
要件③ 設備に関する要件を満たすこと
専用の区画(事務所)
事業運営のために必要な広さの専用の区画を設けること(広さについて明確な規定はありませんが、適正に運営するためには最低7~8畳程度は必要になると思います
訪問看護事業以外の事業と同一の事務室であっても構いませんが、その中で明確に区分されている必要があります。
間仕切りがなくとも、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されればかまわないことになっていますが、パーテーションやカーテンなどで区分しておいたほうが良いでしょう。
設備及び備品
感染症予防の観点から、手指を洗浄するための設備(手洗い場、消毒液)および個人情報保護の観点から鍵付きロッカーが必要になります。
一般的な設備としては、応接セット、電話、コピー、ファックス、パソコンなどが必要となります。
その他の注意事項
事務所については必ずしも会社が所有しているものでなく、賃借しているもので構いませんが、賃貸借契約は必ず法人名義で行ってください。
例えば社長個人の名義などは不可です。また、使用目的は必ず事務所である必要があります。
もし住居等になっている場合は、契約書を訂正してもらうか、所有者から承諾書をもらう必要があります。