介護事業開業・立ち上げ申請センター/山口行政書士事務所

デイサービス(通所介護)開業の重要ポイント

デイサービス事業所として実際に開業スタートするまでの重要なポイントをつかんでおきましょう。

1.法人格の取得

まずは、介護事業所の指定を受けるための第一歩が法人格の取得となります。法人格を有していなければ指定を受けることができないからです。

法人には種類があります。

株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人等の「法人」、それぞれ一長一短ありますので簡単に以下に説明致します。

株式会社

よく耳にされるのがこの会社組織になります。株式会社の利点は認知度が高いことが挙げられます。以前は、資本金1000万円以上が必要でしたが、現在は資本金1円から設立ができ、取締役も1名いれば設立できるようになりました。

設立の速さでは、約3週間ほどとなり、ある程度の準備期間が発生致します。

また、設立に際して納める税金も一番高額で費用がかかります。

必ずかかる費用=登録免許税¥150,000+定款認証費用¥50,000

合同会社

合同会社で設立するメリットは定款認証が不要なため設立費用が安く、設立スピードが一番早いという点です。(必ずかかる費用=登録免許税¥60,000)

欠点は認知度が低いということです。

しかし通常、介護業界では、看板、名刺、チラシなどの宣伝媒体では屋号を前面に出していきます。実際には、会社名は利用者等にあまり知られていないことが多いのです。

つまり、対外的な面では、合同会社の認知度を気にすることはあまりありません。

費用の安さと、設立の速さを利用して合同会社で進めることも検討されても良いかと思います。

NPО法人

NPО法人での設立メリットは、信用度が非常に高いということが挙げられます。

NPО=非営利団体であり、公益性を重視した法人であることから介護事業と最も相性の良い法人格といえます。

また、資本金も不要で、納付する税金も0円で設立できる点も利点として挙げられます。

欠点は、知事の認可を得て設立登記までに4~5か月以上かかることと、理事3名以上監事1名以上が必要であることです。

公益性の強い特別法人であるからこそ、信用も高い訳ですが、そのための審査が厳しく時間がかかることも視野に入れて検討してみて下さい。

社会福祉法人

社会福祉法人は、特別養護老人ホームなどの社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めにより設立される法人です。

社会福祉法人は公共性が高いため、設立の際は役員・資産などについて一定の要件を課し、運営に関しても所轄庁等の厳しい監督下に置かれます。

居宅介護事業をこの社会福祉法人で行う場合、資産要件では、1000万円以上の基本財産であることなど非常に厳しい要件となります。

役員要件も厳しく、理事6名以上、監事2名以上が必要となります。

設立までの期間は、事業内容により1年以上かかるものとなります。

また、居宅介護事業所を5年以上経営実績があり、介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定又は障害者自立支援法に基づく指定居宅支援業者の指定を受けていることも要件の一つです。

メリットとしては、補助金の交付や税制面での優遇措置(法人税非課税、固定資産税の非課税等)を受けることができます。

 ※居宅介護事業の経営実績は、NPO法人であれば3年に短縮されます。

2-1.開業場所の選定

デイサービス開業の一番重要なポイントは、場所及び建物の選定にあると言えます。他事業所が少なく、高齢者が多く、従業員も通勤しやすい場所がベストですが、消防法、建築基準法及び都市計画法、各府県条例及び介護保険法等において要件が合わず断念するケースが経験上多くあります。

最悪の場合は、場所、建物等の下調べを十分に行わず、賃貸契約や建物購入した後に不適合と知るケースもあります。

最初からこのようにならないためには、慎重に場所と建物を選ぶことが重要となります。

 以下にそのポイントを掲げております。

  • 都市計画法上、そのエリアが市街化調整区域でないか
  • 建築基準法上、用途変更手続きが必要かどうか
  • 消防法上、自動火災報知機や自動火災通報装置等の設置が必要かどうか
  • 府県の条例において、介護事業所として建物自体が適合するかどうか
  • 介護保険法上、選定した場所、建物で許可が可能か

場所の選定後、これらの事項を、各役所を回って確認していきます。

そのため、非常な労力、時間がかかりますし、また専門知識の勉強もしなければなりません。1回で場所、建物選定で完了することはあまりありませんので、このサイクルを数回繰り返すことも視野に入れてスケジュールを組んでください。

2-2.建物の改築、新築

開設場所、建物が決定すれば、次は介護施設として要件を満たし利用者が安心して利用できるよう改装又は新築することとなります。

注)大阪府内で開業の場合は、大阪府庁での事前協議を行った後に改装、新築作業に入ります。また、本申請までに改装工事、備品の設置、消防署の確認を終えておく必要があります。

介護施設として要件を満たすためには、介護保険法や各都道府県の福祉まちづくり条例、消防法、建築基準法等に適合するよう建築関係業者と打合せする必要があります。

経験豊富な建築業者ならお任せで良い場合もありますが、通常は建築に関する専門分野以外は熟知していない場合が一般的です。

例えば、都道府県の健康福祉課での取り扱いでは、玄関、お風呂、トイレ、静養室、相談室の規格はどのようになっているか、及び都道府県条例では、建物と接道の要件、お風呂、トイレの入口の幅、車いす用のスロープの斜度、お風呂の湯船の高さなど、いろいろと細かい要件がたくさんあります。

さらに、消防法、建築基準法上の要件も加味されますので、経験の無い方が一から始める場合は、関係法令の学習と関係各所への相談時間を十分に取って進める必要があります。

開設場所、建物が関係法令に適合しているか、実地調査、行政への確認及び事前協議等すべて当事務所が行いますので、間違いのないご開業を確実にサポート致します。

3.人員の募集

法人格の取得後、ハローワーク、ネット、チラシ等を駆使して通所介護事業に必要な人材を募集していきます。

管理者

専従で常勤の方1名を管理者として配置する必要があります。

〔管理者の資格要件〕

資格要件は特にありませんが、従業員及び業務の管理を一元的に行うことが出来、従業員へ指揮命令を行うことが出来る必要があります。生活相談員、介護・看護職員または機能訓練指導員との兼務が可能です。

生活相談員を配置すること

通所介護事業ごとに、常勤の生活相談員を1人以上置くことが必要です。

〔生活相談員の資格要件〕

以下のいずれかの資格を所有する方が生活相談員となれます。

  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 介護福祉士
  • 社会福祉主事任用資格
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)※大阪では認められていません。

看護職員

通所介護の単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専従する必要はありませんが、提供時間帯を通じて事業所と密接かつ適切な連携を図るものとし、その提供に当たる者1名以上必要です。

〔看護職員の資格要件〕

  • 看護師
  • 准看護師

大阪・兵庫ともに利用者が10名以下の小規模であれば、常勤の看護職員又は介護職員を1名おけば良いため、常勤の介護職員が1名いれば、看護職員までは必要ありません。

介護職員

利用者の数が15人までは専従1名以上、15人を超える場合は、5名又はその端数を増すごとに1を加えた数以上が必要です。資格要件はありません。

機能訓練指導員

通所介護の単位ごとに専ら当該通所介護の提供に当たる者1名以上が必要です。

〔機能訓練指導員の資格要件〕

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 看護師
  • 准看護師
  • 言語聴覚士
  • 柔道整復士
  • あん摩マッサージ指圧師

4.通所介護事業所の指定申請

場所、人員のめどがつきましたら、介護保険の適用事業所となるために都道府県からの許可を受けます。毎月の申請日や審査に必要な期間がありますので、開業予定日から逆算してご検討ください。

なお、大坂府と兵庫県では、申請方法が異なりますので、分けて記載いたします。

<大坂府での申請>

① 毎月5日までに事前協議の予約申請を行います。

② 毎月12日~19日までに事前協議を実施しています。

③ 事前協議終了後に建物の改築、新築を開始致します。

④ 工事完成の目途が付きましたら事業開始の前々月15日までに本申請の予約を入れます。

⑤ 事業開始の前々月20日~前月10日までに本申請致します。

⑥ 事業開始の前月12日~19日の期間で現地調査が行われます。

⑦ 事業開始の前月20日以後で指定と研修が行われます。

⑧ 事業開始月の1日からデイサービス事業所のスタートとなります。

<兵庫県での申請>

① 事業開始の前々月15日までに本申請を行います。

② 事業開始の前月15日までに補正事項及び不備事項を完成させます。

③ 事業開始月の1日からデイサービス事業所のスタートとなります。


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